どのルートを走るか
「航路と便を選ぶ」で紹介したように、ヨセミテ国立公園のホームページ(以降、HPと省略します)には、最寄りの空港や、空港からの運転ルートに関するページがあります。また、ヨセミテ国立公園の宿泊やツアーに関するHPにも同様の情報があります。フレズノ・ヨセミテ国際空港(Fresno-Yosemite International Airport, FAT)やマーセド・リージョナル空港(Merced Regional Airport, MCE)は、ヨセミテ国立公園からの距離が近いため、どこかに寄り道しない限り、ルートはそれぞれ「Highway 41」と「Highway 140」を選ぶと思います。サンフランシスコ国際空港(San Francisco International Airport, SFO)やサンノゼ国際空港(Norman Y. Mineta San José International, SJC)からのルートは300 km程度あるため、いくつかの選択肢があります。空港ごとに説明します。
◯サンフランシスコ国際空港(San Francisco International Airport, SFO)からのルート
➤I-580、I-205、CA-120(SR-120)を通るルート
まずは一番素直にヨセミテに向かう、I-580、I-205、CA-120(SR-120)を通るルートから紹介しましょう。私たちはこのルートを選びました。これ以外は、このルートの途中から別の道に分かれるルートが多いので、後で異なる部分のみ説明します。
SFOからUS-101 S(USは国管理の高速道路。SはSouth、南行きの意味。)でサンフランシスコ半島を南下し、サンマテオ(San Mateo)でCA-92 E(CAはカリフォルニア州管理の高速道路。State Route 120、SR120と記載される場合もあります。EはEast、東行きの意味。)に入り、サンマテオ・ヘイワードブリッジ(San Mateo-Hayward Bridge)でサンフランシスコ湾を渡ります。この橋は長さが11km以上ある、カリフォルニア州で1番、世界でも25番目に長い橋です。サンフランシスコ半島にかかる橋は4つありますが、San Mateo-Hayward Bridgeに限らず、サンフランシスコ半島を出る方向(San Mateo⇒Hayward)に橋を渡る場合は、無料で橋を渡ることができます。
I-580 Eに入るとすぐにヘイワーズ峠(Haywards Pass)を越え、トライバレー(Tri-Valley)の1つ、リバモアバレー(Livermore Valley)に入ります。ここで注意が必要なことがあります。Livermore ValleyのI-580にはエキスプレスレーン(Express Lanes)というレーンがあり、この一番左のレーンを通行するには、普通の自家用車はファストラック(FasTrakあるいはFasTrak Flex)という、日本のETCのような機器を付ける必要があります。FasTrak Flexを装着して二人以上乗車して通行する場合(carpool、”相乗り”と言います)等、特定の条件下では無料で通行することができます。日本在住の場合、通常FasTrakは持っていないハズですが、レンタカーの場合、FasTrakを付けていなくても、手数料を払えば、レンタカー会社を介して通行料金を支払うことができるようです。後でFasTrakの説明をする時に、もう少し詳しく説明します。渋滞が激しい場合はExpress Lanesを通行するメリットがあると思いますが、私たちが通行した時はそれほど渋滞していなかったので必要性は感じませんでした。ご自分が通行するのと同じ曜日、同じ時間帯の渋滞状況を、Googleマップで確認してみて下さい。「メニュー」の「交通状況」をオンにすることで表示することができます。FasTrakは復路の橋でサンフランシスコ半島に渡る時にも使えるので、後でお話しします。
リバモア(Livermore)の町を過ぎると、草地に風力発電の風車が無数に並んでいる山を越えます。ディアブロ山地(Diablo Range)を越えるアルタモント峠(Altamont pass)(写真の出典:Wikipedia、Eric Molina撮影)です。そこを過ぎるとトレーシー(Tracy)の町です。それからI-205 E、I-5 N経由でCA-120 Eに入り、マンティーカ(Manteca)の町に入りますが、SFOからここまでの間、ハイウェイを降りない限りパーキングエリアのような場所はありません。SFOからMantecaまでは80マイル(128km)あり、渋滞の有無次第で1時間半から2時間程度はかかりますので、この辺りで休憩を入れるのが良いと思います。
Mantecaの町中でCA-120は高架(?)を降り、信号がある地道になるため、高架の終点付近は渋滞していることがあります。Mantecaの高架の終点の手前には、3か所町に降りる道があります。Mantecaは人口7万人程度のそこそこ大きな町なので、Starbucksや現地で人気のIn-N-Out Burger(イネナウトバーガーと発音するようです)、SubwayやMr. Pickle'sというファーストフードの店がありますし、Costco(英語ではコスコと発音します)やスーパーマーケットのSafeway、Walmart、ホームセンターのTHE HOME DEPOTがあります。また、Bank of AmericaやWells Fargo Bank、Chase Bank等、日本の銀行やクレジットカード会社と提携のある大手銀行があるので、安心してドルを引き出すこともできます。
小さいお子さんを連れてドライブする場合は、Mantecaよりももっと手前でオシッコ休憩が必要になると思います。その場合、Haywardは治安が良くないようなので、2014年に全米で住みたい街第4位に選ばれ、非常に治安の良いプレザントン(Pleasanton)や、Livermore、Tracyでハイウェイを降りて、スーパーマーケットやガスステーション(ほとんどの場合、コンビニの店舗と一緒になってます。)で一休みすれば良いと思います。どの町にもMantecaと同様の店舗があります。
Mantecaから東のCA-120はヨセミテアヴェニュー(Yosemite Avenue)という名前がついています。Mantecaまでとは景色が変わり、アーモンド(Almond)やぶどう、ウォールナット(Walnut、くるみ)の畑の中を、真っ直ぐに東へ走ります。畑の中の道と言っても、速いところで制限速度は時速65マイル(65 mphと表示されます。時速105km程度です。)で、どんどん進みます。11マイル(18km)ほど走ったところにはエスカロン(Escalon)という人口7千人程度の小さな町があり、Yosemite Avenueは踏切を横切ります。カリフォルニア州の踏切では、普通自動車は一時停止してはいけないそうです。大型自動車は一時停止しますが、普通車はどの車もほとんどスピードを落とさず(遮断機が無い場合は15 mph程度で徐行です)通り過ぎます。ただし、例外がありますので、この文のリンク等でご確認下さい。さらに9マイル(14km程度)走るとオークデール(Oakdale)の町です。Oakdaleは人口2万人程度の町で、ここから先には小さな町しかありません。SFOからここまで約100マイル(160km程度)、まだまだガソリンは残っているはずですが、この先はガスステーションが非常に少なくなり、ガソリン価格が高めになります。特にヨセミテ国立公園内でたくさん走るのであれば、この辺りで給油しておくと良いと思います。
私たちはGoogleマップ(GSをクリックすると価格が表示されます)やGasBuddyというHPでガソリン価格を調べた上で、Oakdaleのクイックストップ(Quik Stop)で給油と買い物、トイレ休憩をしました。アメリカのガスステーションでの給油の方法は、Web検索すると写真付きで説明してくれているHPがたくさん出てくると思います。日本で作ったクレジットカードの場合、給油時に入力するアメリカの郵便番号(ZIP Code)が無いため、まずレジに行き、店員さんに”Fill it up, No. ?(給油機の番号) please.”と言ってクレジットカードを渡せば、そのカードが使えることを確認した上で、給油機のゲージを0ガロン(1ガロン=約3.8 L)にリセットしてくれます。ちなみに、ガスステーションに限らず、大手のクレジットカードでも使えない場合がありますので、カードは複数枚持っておいた方が良いです。また、本人のカードか確認するために身分証明書(ID)を求められることもありますので、パスポートも持っておきましょう。給油は日本と同様に給油ノズルを給油口に入れ、給油したいガソリン(Unleaded=レギュラー、Unleaded Plus、Unleaded Premium=日本で言うハイオク、の順に値段が上がります。Plusで良いと思います。)のボタンを押してレバーを握れば給油が始まります。こちらのHeartz Rentacarの動画が参考になります。古い給油機の場合、給油ノズルを引っ掛けてあるレバーを持ち上げないと給油できない場合があるようですが、私たちは経験しませんでした。給油が終わったら、日本と同じく給油ノズルを元に戻し、レジに戻って”No. ? please”と言えば、給油したことを見ているので、すぐにクレジットカードで決済して返してくれます。
私たちの場合、SFOを13時過ぎに出発し、ノンストップでQuik Stopに着いたのはその2時間後、15時過ぎでした。SFO着陸前の機内で遅めの朝食が出たため、ここまで昼ごはんを食べていませんでしたので、遅めの昼食をトーゴーズ(Togo's)でサンドイッチやサラダで済ませました。
Oakdaleを過ぎると周囲は草地に変わり、小さな丘を越えながら徐々に高度を上げていきます。いよいよシエラ・ネバダ山脈が近づいてきました。Oakdaleからは1本の道でCA-120とCA-108の2つの番号がついています。25マイル(約40 km)走るとCA-120は右折してCA-108と分かれ、3.5マイル(約5.6 km)走ったチャイニーズキャンプ(Chinese Camp)で、今度はCA-49と道を併用します。8.2マイル(約13 km)ドン・ペドロ湖沿いを走ったモカシン(Moccasin)でCA-49とは分かれるのですが、この分かれ道のそばには、モカシン・クリーク・ハッチェリー(Moccasin Creek Hatchery)という、鱒の養魚場があり、見学ができるようです。
CA-49との分かれ道を越えると、ヨセミテ国立公園までの道のりで最も急激に高度を増すエリアに入ります。CA-120を道なりに走ると、ニュー・プリースト・グレード・ロード(New Priest Grade Road)というつづら折れの坂道(Grade)を5.3 マイル(約8.5 km)走ることになりますが、CA-49との分かれ道から0.7マイル(約1.1 km)走ったところから始まるオールド・プリースト・グレード・ロード(Old Priest Grade Road)という旧道を右折すると、半分の距離の2.6 マイル(約4.2 km)で、標高280 mから、標高750 mのプリースト・ステーション(Priest Station)の交差点まで登ることができます。ただし、このOld Priest Gradeは平均斜度12.9%、最大斜度15.4%で、サイクリストの腕(脚?)試しの道になるほどですので、オーバーヒートと、滑落事故には気をつけて下さい。私たちが走った時は、Googleマップのカーナビ機能は、ちゃんとOld Priest Gradeを案内してくれました。ちなみに、Priest Stationには、プリースト・ステーション・カフェ(Priest Station Cafe)という、宿泊もできる人気店があります。
Priest Stationから3マイル(4.8 km)走ると、ヨセミテ国立公園までの残りの道のりで最後の町らしい町、グローブランド(Groveland)に着きます(写真の出典:Wikipedia、daveynin撮影)。標高956 m、人口600人、ゴールドラッシュの頃の面影を残す古き良き雰囲気のある町で、中心部の3つの建物、グローブランド・ホテル(Groveland Hotel)、ホテル・シャーロット(Hotel Charlotte)、アイアン・ドア・サルーン(Iron Door Saloon)が”National Register of Historic Places”(国指定の歴史登録財)になっています。1849年に建てられたGroveland Hotelと、1921年オープンのHotel Charlotteは現在でも宿泊が可能で、1852年に建てられたIron Door Saloonでは音楽と食事を楽しむことができます。町中はここまでの道中と違い、道幅が狭く歩行者もあるので、走行には注意が必要です。町中心部の制限速度は25 mph(時速40 km)です。Grovelandを過ぎると、CA-120はビッグ・オーク・フラット・ロード(Big Oak Flat Road)と呼ばれる道になります。
Grovelandから森林の中を24マイル(約38 km)走ると、いよいよヨセミテ国立公園の入口、ビッグ・オーク・フラット・エントランス(Big Oak Flat Entrance)に到着です。シート数15以下の車の場合、7日間有効の入園料は、11~3月は25ドル、それ以外は30ドルです。Entrance Stationを通過すると、右手にBig Oak Flat Information Station(Visitor Information and Wilderness Permits, Campground Reservation)やトイレがあります。
Big Oak Flat Entranceを過ぎ、7.7マイル(約12 km)進むと、トゥオルミ・メドウズ(Tuolumne Meadows)やタイオガ・パス(Tioga Pass)へ向かう道(CA-120)と、ヨセミテ・バレー(Yosemite Valley)に向かうBig Oak Flat Roadとの交差点があります。道なりに真っ直ぐ進むとYosemite Valleyです。ちなみに、”Tuolumne”の発音はこちらのYouTubeで確認できます。上の写真右の案内標識にあるように、Yosemite Valley内にはガスステーションはありません。Yosemite Valleyまでまだ15マイル(24 km)ありますが、このルート上でYosemite Valleyに最寄りのガスステーションが、この交差点を左折したところにある、クレーン・フラット(Crane Flat) Gas Stationです。ガソリン価格はお高めのようですが、すぐ近くにCrane Flat Campgroundがあることもあり、野菜や果物、卵、飲み物、お菓子から、薪、電池、寝袋、地図、お土産など、品揃えが充実しているようです。
Yosemite Valleyへの道から反れ、CA-120を0.6マイル(約1 km)走るとTuolumne Grove Trailheadに着きます。このTrailhead(トレイルヘッド)は、道の始点のことで、ここから、樹高が80mにもなるジャイアントセコイア(Giant Sequoias)の巨木を見られるTuolumne Grove(グローブは小規模の森のこと)に入る道が始まっています。往復で2.5マイル(約4 km)、標高差で120 mほど下りますので、1時間半から2時間半かかります。私たちがSFOからの道のりの途中でここに着いたのは、夕方18時でしたが、まだまだ日が高かった(当日の日の入りは20:17)ので、思い切って散策しました。Giant Sequoiasを見られる所までは少し歩く必要がありますので、時間が無い場合は日を変えた方が良いです。
ヨセミテ国立公園内で最も大きなGiant Sequoiasをたくさん見られるのは、マリポサ・グローブ(Mariposa Grove)ですが、植生回復のため2017年の初夏まで閉鎖されています。私たちがヨセミテ国立公園を訪れたのは2016年の7月で、閉鎖期間でしたので、こちらのTuolumne Groveを散策しました。
Crane Flatの交差点からBig Oak Flat RoadをYosemite Valleyに向かってしばらく進むと、右手の視界が開け、徐々に道が下り始めます。いよいよYosemite Valleyの谷筋に入りました。9.5マイル(約15 km)進むと、道はマーセド川(Merced River)に突き当たり、三叉路を左折してエル・ポータル・ロード(El Portal Road)に入ります。Merced River沿いを0.9マイル(1.4 km)進むと、Yosemite Valleyの入口に到着です。ここからは対面通行が終わり、一方通行の道になります。
Yosemite Valleyは東西に長さが8マイル(13 km)あり、谷の南側にValley内に向かうSouthside Drive(省略してDrと書かれていることが多いです)、北側にValleyから出るNorthside Driveが走っています。Merced Riverを渡り、Southside Driveをしばらく進むと木立の間から写真で見た景色が見え始めます。世界最大の花崗岩の一枚岩、クライマーの聖地、エル・キャピタン(El Capitan)です!South Driveを0.9マイル(1.4 km)進むと、トンネル・ビュー(Tunnel View)へ向かうCA-41(ワウォナ・ロード、Wawona Road)との分かれ道を越え、El Capitanがどんどん大きく迫ってきます。さらに1.4マイル(2.2 km)、Northside Driveへ向かうEl Capitan Driveへの交差点を越えてしばらく走ると、左手の草原の向こうの断崖に滝が見えてきます。北米最大、世界でも5番目の落差(739 m)を誇るYosemite Falls(Fallsと複数形になっているの3段の滝のため)です。その後、National Register of Historic PlacesにもなっているYosemite Valley Chapelを通り過ぎて右にカーブすると、センチネル・ブリッジ(Sentinel Bridge)が見えてきます。この橋は、川面に映るハーフドーム(Half Dome、2693 m)の景色で有名です。Sentinel Bridgeのたもとに一時停止があり、ここから先は対面通行になります。Yosemite Valleyの中心部のヨセミテ・ビレッジ(Yosemite Village)や、ヨセミテバレー・ロッジ(Yosemite Valley Lodge)、ザ・マジェスティック・ヨセミテ・ホテル(The Majestic Yosemite Hotel)など、谷の北側に行く場合は、Sentinel Bridgeを渡って、Sentinel Driveを北上したほうが近道になります。谷のさらに奥、Half Dome Villageやハウスキーピングキャンプ(Housekeeping Camp)などのキャンプ場に向かう場合は、Southside Driveをそのまま直進します。
Yosemite Valley内の駐車場は、宿泊者用と日帰り訪問者用に分かれている場合があります。宿泊者用の駐車場に関しては、各宿泊施設のHPの”Guest Services”の”Parking”の欄に書かれています。私たちが宿泊したYosemite Valley Lodgeの場合、車のダッシュボードに置く駐車許可証を、チェックインの時に渡されました。また、日帰り訪問者用の駐車場の1つとして、Yosemite Valley Lodgeの近くにYosemite Falls Day Use Parkingがあり、Web上で予約することができます。空いていれば無料で駐車できますが、$1.5払って事前予約することで、確実に駐車できます。特に夏の休日や週末は駐車場が空いていない場合も多いので、Valley外に宿泊する場合は予約しても良いかもしれません。
ヨセミテ国立公園内でレンタカーを夜間に駐車する時は、決して食べ物や飲み物、化粧品等、香りのする物(空になったお菓子の袋等)を車内に置きっ放しにしてはいけません。Black Bearは非常に嗅覚が発達しているので、たとえ窓が閉まっていて、飲み物が缶に入っていたとしても、人には分からない香りを嗅ぎ付け、ドアを破壊して車内に入ってしまうそうです。空港からヨセミテへ急ぐ場合、車内でハンバーガーを食べて食事を済ませたくなるかもしれませんが、ソースをシートに落としたりした場合、取り返しのつかない事態になる可能性があります。休憩も兼ねて食事はレストラン等で済ませ、車内での飲食は避けたほうが良さそうです。
繁忙期はValley内はひどく渋滞することがあるようですので、レンタカーはホテルの駐車場に止め、無料のYosemite Valley Shuttle Systemを利用することをお勧めします。一部のルートでShuttleは専用レーンを走るため、レンタカーよりも早く移動することができます。Shuttleでもなかなか進まない時は、草原を歩かれることをお勧めします。車窓からは見られない素晴らしい景色に出会えます。
このルートの復路について、いくつか伝えておきたいことがあります。
1つは、先に書いたChinese Campの近くのCA-120とCA-108の分岐の交差点についてです。この交差点はヨセミテ国立公園へ向かう方向は渋滞はあまり無いようですが、帰りは交差点で一時停止する必要があるため、手前がひどく渋滞することがあります。私たちが帰りに通った時、この渋滞をかわすため、GoogleマップのナビはChinese Campで左折する上のねずみ色のルートを案内しました。この低い山地はレッド・ヒルズ(Red Hills)と呼ばれていて、蛇紋岩土壌というやせた土地のため、そこにしか生えない希少植物や、越冬のために飛来するハゲワシなどを保護するため、一部がRed Hills Area of Critical Environmental Concern(Red Hills ACEC)という保護区域に指定されています。道路は丘の合間を走り、ところどころに”DIP”(沈下!)と書かれた、涸れた川床を走る部分がある、なかなかの荒野感のあるルートです。上の地図の星印の所にはRed Hills ACECへの入口があり、強烈に臭う、ハエだらけのボットン便所があります。
もう1つは、San Mateo-Hayward Bridgeについてです。最初に書いたように、サンフランシスコ半島から出る方向(往路)は無料ですが、入る方向(復路)は有料です。車軸の数で料金が決まっていて、2軸の普通車は$5です。ただ、”Carpool hour”(Carpool=相乗りのこと)になっている平日の午前5時から10時、午後3時から7時の間に、FasTrakを付けて2人以上乗車し、Carpoolの表示がある laneを通行する場合に限り、$2.5に割り引かれます。FasTrakについては、後でもう少し説明します。
最後にもう1つだけ復路について書きます。
レンタカーを返す時に満タンにして返す契約を選んだ場合、SFOのRental Car Centerの周辺でガソリンを入れる必要があると思います。前に書いたように、Googleマップでガスステーションをクリックするとガソリン価格が表示されますし、GasBuddyでも調べることができます。SFO Rental Car Centerの近くの最安値はCostco South San Francisco店の場合が多いと思いますが、会員になる必要がありますし、Costcoのガスステーションにはレジ(英語ではキャッシャーcashier)がありませんので、店内でCostco Cash Cardを購入した上で長い給油の行列に並ぶことになります。もともとガソリン価格が安いので、時間の方が大切かもしれませんね。ちなみに日本の会員カードでアメリカの店舗も利用できます。
➤I-580、I-205、CA-120(SR-120)、CA-99、CA-140を通るルート
このルートは、始めに説明したMantecaのCA-120の高架の終点でCA-120を出て、CA-99 Sを南下するルートです。1997年のMerced川の大洪水までヨセミテ国立公園に入るメインルートだったCA-140を通ります。最初に説明したルートにはない広大な草原が見られることと、Merced川沿いの景色を見ながらドライブできることが特徴です。CA-99 Sへの分かれ道からアーモンド畑の間の高架(?)を15マイル(24 km)走ると、人口20万人のモデスト(Modesto)の町です。SFOから休み無しで走ってきた場合、この辺りで休憩したいところですが、アメリカの調査会社ギャラップ社(The Gallup Organization)の調査では、Modestoはアメリカ人が夜の独り歩きが安全でないと感じる街5位だそうで、特に自動車窃盗が非常に多いこともあり、できれば避けたい街です。MantecaとModestoの間の小さな町で休憩するか、Mantecaの町までに休憩したほうが良いと思います。Modestoからターロック(Turlock)を越えて39マイル(62 km)進むと、マーセド(Merced)に着きます。Mercedは「ヨセミテ国立公園の玄関」と呼ばれる人口8万人の町で、Merced Regional Airportがありますし、鉄道のアムトラック(AMTRAK)の駅もあります。治安は少し悪いようです。GoogleマップやGasBuddyで調べると、ここから先はガソリン価格が上がるようなので、ここまでに給油しておいた方が良さそうです。Mercedの町でCA-99の高架を降り、CA-140 E(Central Yosemite Highway)に入ります。Mercedの市街地を出て、プラナダ(Planada)の町を過ぎ、アーモンド畑の間を抜けると、見渡す限りの草原が始まります。CA-120にも草原がありますが、丘が多いため、遥か彼方まで見通せる草原はありません。Mercedから25マイル(40 km)、Planadaから15.9マイル(25.4 km)の人口800人の小さな町、キャシーズ・バレー(Catheys Valley)まではほとんど家がありません。Catheys Valleyを越えてしばらく走ると道はシエラ・ネバダ山脈を登り始め、12マイル(19 km)進むと人口2200人くらい、標高594 mのマリポサ(Mariposa)の町です。MariposaはCA-120のGrovelandと同じく、Gold Rushの時代(1849年)に開かれた町で、この町にもその頃に建てられたMariposa County Court HouseなどのNational Register of Historic Placesがいくつかあります。町について詳しく書かれたHPをリンクしておきます。Mariposaを過ぎ、山間の道を13マイル(21 km)走ると、CA-140はMerced川沿いを走り始めます。さらに16マイル(26 km)走ると、このルートで最後のガスステーションがある、エル・ポータル(El Portal)に着きます。El portalは人口500人程度の町でCA-140沿いにはEl portal marketという、生鮮食品も売られている店があります。FacebookやGoogleマップの写真を見る限り、何でもありそうです。1997年1月の大洪水の時、この辺りから上流のCA-140が破壊され、修復は2000年の9月までかかったそうです。El portal marketからMerced川沿いをさらに進むと、途中からCA-140はEl Portal Roadと名を変え、3.3マイル(5.3 km)走ると、ヨセミテ国立公園の入口、アーチ・ロック・エントランス(Arch rock entrance)に着きます。後はひたすらMerced川沿いを4.6マイル(7.4 km)走ると、最初に説明したルートのBig Oak Flat Roadとの三叉路に到着しますので、そのまま進めばYosemite Valleyです。
➤I-580、I-205、CA-120(SR-120)、CA-99、CA-132、Greeley HIll Rd.、Smith Station Rd.、CA-120を通るルート
このルートは、上記のModestoでCA-99を降り、CA-132 Eを東に走るルートです。途中から最初に説明したCA-120のルートに戻ります。道幅が狭目の区間があり、先に説明した2つのルートよりも所要時間は長くなりますが、繁忙期に渋滞を避けたい場合や、ゆっくりセントラル・バレーの景色を楽しみたい場合にお勧めです。CA-99 Sを225Bで降りて、CA-132 E(Yosemite Boulvard)に入ると、道は住宅街と工場街の間を東に走ります。この辺りはModestoの中心街から離れていて、犯罪率は低いようですし、飲食店やガソリン価格が安いガスステーション(兼コンビニエンス・ストア)がいくつかあるので、SFOからノンストップで走ってきたのであれば、休憩に良さそうです。Modestoの町を抜けると、CA-132はアーモンド畑の間をひたすら東に走ります。Modestoから13マイル(21 km)走ると、人口8500人のウォーターフォード(Waterford)の町があります。Waterfordを過ぎると、道は徐々に高度を増しながら、ヨセミテ国立公園を水源とするTuolumne Riverに沿って東に走ります。Waterfordから18マイル(29 km)走るとラ・グランジ(La Grange)の町があります。人口350人の小さな町ですが、CA-120のGrovelandと同じく1850年代のゴールドラッシュの時代に拓かれた町で、いくつもの建物がNational Register of Historic Placesに指定されています。そのうちの1つは、Louie's Place Saloon and Grill(Googleマップ上ではLa Grange Saloon and Grill)として、今でも人気のバー&グリルです。La Grangeから21マイル(34 km)走ると、道は牧草地から徐々に山林に変わり、標高518 m、人口200人のコールターヴィル(Coulterville)の町に着きます。この町も1850年代に拓かれた町で、中心部がCoulterville Main Street Historic DistrictとしてNational Register of Historic Placesに指定されています。このエリアには、1851年に建てられ、今でも宿泊できるHotel Jefferyがあります。CoultervilleからはCA-132を外れ、郡道のグリーリー・ヒル(Greeley Hill)Road(Main Street)を進みます。6.4マイル(10 km)走ると、標高961 m、人口915人のGreeley Hillの町があります。そのまま7.8マイル(12 km)走ると、最初に説明したルートのCA-120と合流することができます。
◯ノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港(Norman Y. Mineta San José International Airport, SJC)からのルート
サンノゼ国際空港(SJC)はSFOから50 km程度しか(?)離れていないため、ベイエリア以外はSFOからヨセミテ国立公園までのルートと同じ場合が多いです。
➤I-880、I-680、I-580、I-205、CA-120(SR-120)を通るルート
このルートは、SJCからI-880 N、I-680 N、CA-84 Eを経由して北上し、LivermoreでSFOからのルートと同じI-580 Eに入るルートです。I-880 Nを6.8マイル(約11 km)走り、12Aを降りて1.5マイル(2.4 km)走るとI-680があります。I-680 Nに入ると、道はすぐに牧草地になっている山を登り始め、9マイル(14 km)走った21BでCA-84 Eに入ります。山を下るとLivermoreの町の西側を南から北上し、9.7マイル(約15 km)走ったところで、I-580 Eに合流します。あとはSFOからのルートと同じです。
➤US-101、CA-152、CA-140を通るルート
このルートはSFOからのルートとはまったく異なる道を走ります。SJCからUS-101でSan Jose市街を南下し、約32マイル(約51 km)走ったギルロイ(Gilroy)で、CA-152 Eに入ります。ここから先は何もない山地をしばらく走るので、この辺りで休憩を入れておくのも良いと思います。CA-152に入らずに、US-101を降りるとショッピングセンターがありますし、その手前で降りるとGilroy Premium Outletsもありますので、Shoppingも良いかもしれません。ちなみに、モントレー(Monterey)を観光したい場合は、US-101をそのまま南下します。Gilroyを出ると、CA-152はDiablo山地のパチェコ峠(Pacheco Pass、標高417 m)を越えます。Gilroyから28マイル(約45 km)進むと、カリフォルニア州で5番目に大きいサン・ルイス貯水池(San Luis Reservoir)が見えてきます。貯水池のそばには、CA-152から直接立ち寄れる、ロメロ・オーバールック・ビジター・センター(Romero Overlook Visitors Center)があります。San Luis Reservoirを過ぎると、周囲は麦やアルファルファの畑に変わり、人口3万6千人のロス・バノス(Los Banos)の町に着きます。Gilroyからここまでの48マイル(77 km)、約1時間の間はあまり店がありません。SJCからノンストップでここまで走るとすると、1時間半程度かかるはずですので、休憩に良いと思います。Los Banosから19マイル(30 km)走ると、CA-152を降り、CA-59 Nを北上します。Los Banosから35マイル走ると、SFOからのルートで説明したMercedの町で、ここから先は同じルートです。
◯フレズノ・ヨセミテ国際空港(Fresno-Yosemite International Airport, FAT)からのルート
このルートはCA-41を使って南からヨセミテ国立公園に入るルートで、途中にはGiant Sequoiaで有名なMariposa Groveがあります。FATからCA-180 Wを2.0マイル(3.2 km)だけ走り、CA-41 NでFresno(2016年現在人口52万人)の街を北上します。36.5マイル(58.4 km)走ると、ゴールドラッシュの時代に拓かれた人口1840人のコアーシーゴールド(Coarsegold)の町があり、歴史博物館などがあります。さらに8.1マイル(13 km)走ると、標高693 m、人口2800人のオークハースト(Oakhurst)の町があります。ここまで来るとヨセミテ国立公園までの距離が近いので、たくさんホテルがあります。繁忙期で公園内のホテルが満室の場合は探してみて下さい。OakhurstからCA-41はどんどん高度を上げ、11マイル(18 km)走ったところには、ゴールドラッシュの時代に材木を輸送していた蒸気機関車に乗れる、ヨセミテ・マウンテン・シュガーパイン・レイルロード(Yosemite Mountain Sugar Pine Railroad, YMSPRR)があります。大人$24、小人$12で、4マイル(6.4 km)の線路を1時間かけて往復してくれます。CA-41を1.9マイル(3 km)進むと、標高1,543 m、人口59人のフィッシュ・キャンプ(Fish Camp)の町があり、ここにもホテルがあります。さらに2.6マイル(4.2 km)走ると、CA-41の終点、ヨセミテ国立公園のSouth Entranceに到着です。$30の7day-passを支払います。時間に余裕がある場合、このSouth Entranceを通過し、すぐに右折して2.1マイル(3.4km)走るとMariposa Groveがあります。樹高80 m以上にもなるGiant Sequoiaの巨木がたくさんあり、ヨセミテ国立公園の中で見逃したくない観光スポットの一つですが、残念ながら2017年の初夏までは植生回復のために入れません。入れる場合、往復2.5マイル(4km)、1時間半から2時間半で見て回れます。South Entranceから4.6マイル(7.4 km)走るとBig Trees Lodge、Wawona Visitor Centerなどがある、North Wawonaに着きます。そこから12.4マイル(19.8 km)進むと、ヨセミテ国立公園で最も人気の観光スポット、Glacier Pointへ向かう、Glacier Point Roadの分かれ道があります。ここからGlacier Pointの駐車場があるGlacier Point Trailheadまでは15.7マイル(25.1 km)、片道30分程度の道のりです。日差しの向きの関係で、景色が良いのは午後ですので、時間に余裕がある場合は、是非行くべき場所です。この分かれ道からYosemite Valleyの方向に7.7マイル(12 km)走ると、これもヨセミテ国立公園で1~2を争う人気スポット、Yosemite Valleyの入口、Tunnel Viewに着きます。こちらも午後の眺望が良いです。あとは1.6マイル進むと、CA-120からのルートと合流です。
Googleマップのナビ機能の使い方については、ご存じのことと思います。皆さんが気になるのは、アメリカで日本語のナビ機能がどの程度使えるのかということでしょう。私たちが利用した時の結論から言うと、ほぼ完璧にナビしてくれたので、他に用意する必要はまったくないと思います。日本の場合、大きな通り以外は名前がついていないと思いますが、アメリカの場合(他の西洋諸国も。その代わりブロック名は無し。)は小さな通りでもすべて名前がついています。それに加えて、ハイウェイの場合、すべての出口ランプに番号が振られています。番号はハイウェイの起点からのマイル数を表しているそうで、同じマイル数のところに複数の出口ランプがある場合、上の写真のように番号の後ろにA、Bとアルファベットを付けることで区別されています。Googleマップは上の写真のように経路検索した時に左側に表示される言葉のとおりに案内してくれますので、案内された番号(+アルファベット)の標識(上の写真、出典:Googleストリートビュー)に沿って走れば、間違えることはないと思います。また、日本とは異なり出口ランプは必ず右側にありますし、他のハイウェイへの合流も右側からですので、日本の高速道路よりも迷いにくいと思います。合理的ですね。
ただし、1つだけ注意点があります。ヨセミテ国立公園のHPの”Driving Directions”のページに、ヨセミテ国立公園の公園内や周辺ではGPSが必ずしも正確な方向を示さないことがある、と書かれています。GPSを使っていてナビと標識の案内が異なる場合は標識が正しいことを覚えておくように、と注意しています。私たちがCA-120でヨセミテへ向かった時は、ナビの案内がおかしくなったことはありませんでしたが、違うルートの場合や、私たちが使った携帯電話会社(Verizon Wireless)と異なる会社を利用する場合は問題が起こるかもしれません。Verizonを選んだ理由については、別に記載します。
最後にFasTrak(含FasTrak Flex)についてご紹介します。I-580 Express Lanesのところで書いたように、ヨセミテ国立公園までの道のりでFasTrakが役立つ可能性があるのは、San Francisco湾を渡る橋(含San Mateo-Hayward Bridge)を、San Francisco半島方向へ渡る時(復路)と、I-580のExpress Lanes、I-680 Express Lanes、SR-237 Express Lanesを走る時です。SFOの駐車場でも利用できます。FasTrak Toll Tag(機器のこと)は、アメリカに住所が無くても、Costco、Safeway、Walgreenで手に入れることができますが、リース扱いのため、deposit(預かり金)として$20支払う必要があります。通行料金をクレジットカードで支払う場合、このお金は通行料の前払金として扱われるようですが、FasTrak Accountを閉じる場合、Toll Tagを返却しないと、クレジットカードから$20を引かれてしまうそうです。手に入れた後にFasTrak Accountを開設する必要もあります。私たちの場合は、SFOからSan Mateo-Hayward BridgeとI-580を通ってヨセミテ国立公園に往復するだけでしたので、現金払いでも橋の通行料$5しかかからないこと、I-580を通行するのが渋滞する時間帯ではないこと、利用するための準備の時間や手間の方が大きいことから、利用しませんでした。
一方で、レンタカーを利用する場合、レンタカー会社に手数料を支払うことで、FasTrakを装着していなくても、Express Lanes等を利用することができます。例えば、レンタカー会社がAlamoの場合、Express Lanes等を通行した場合、通行料に加えて1日$3.95(レンタル期間中最大$19.75)を走行後にクレジットカードで支払うことになります。この利用法に関しては、レンタカー会社によって色んな違いがあるようですので、上記のリンクや、レンタカー会社のHPの記載を良く確認した方が良いです。関連する記事のリンクを貼っておきます。